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本会議質問

1999年5月市会 本会議代表質問

No.1

北区選出の玉本なるみです。私は,日本共産党市会議員団を代表して,介護保険制度と環境の問題として産業廃棄物施設と野焼きの対策について質問致します。
 まず介護保険についてお尋ねします。いよいよ介護保険制度は来年4月のスタート,それに先立って本年10月より介護サービス申請が始まります。一体保険料は幾らになるのか,保険料は払っても希望のサービスが受けられるのかと市民の関心と不安の声は高まる一方です。全日本民主医療機関連合会が全国で利用者2万8,000人に行った要介護実態調査では,政府が2,600円としている介護保険料を払えないと答えた人が29.8パーセント,サービスの1割を負担する利用料を払えないと答えた人は45パーセントに上ったという結果が出ています。今,大不況の中で国民健康保険料を払うだけでも大変なのに,とてもこれ以上払えないと言われている方は数多くおられます。そこで介護保険料についてお伺いします。まず65歳以上の第1号被保険者の問題ですが,今,市民にとっての一番の関心事である保険料は一体幾らになるのでしょうか。少ない年金から強制的に天引きされるわけですから生活そのものが厳しくなります。平成10年京都市要援護高齢者実態調査では,京都市の高齢者の年間総収入200万円未満は5割を占め,100万円未満は3割と厳しい生活実態となっています。減免制度の実施は高齢者の生活を守るためにも必須であると思います。
 次に,第2号被保険者の介護保険料の問題ですが,介護保険料は健康保険料に上乗せして徴収されます。そのため国民健康保険は減免制度を利用しながら払っていた方が,介護保険の上乗せ分が払えないがために国保までも滞納になりかねないということです。保険料が払えず保険給付から排除される人を作らないためにも,介護保険制度になっても現在の国民健康保険と同様に法定減免制度にとどまらず条例減免制度を継続実施することが必要です。市長,いかがでしょうか。
 次に,利用料についてお伺いします。私は,実際に介護をされている方に状況を伺いました。介護度4や5と認定されても,その1割の負担の2万,3万はとても払えず,介護サービスを辞退せざるを得ないと言われていました。現在,ホームヘルパー利用者の8割は非課税世帯で負担額はありません。それが介護保険制度になると途端に1割の利用料が必要となります。ケアマネジャーにとっても,利用者の問題点が何なのか,どのようなサービスが必要なのかという専門的思考ではなく,まず初めに幾ら負担金を払えるのかお聞きしなくてはならないとしたら,ケアプランどころかマネープランになってしまいます。厚生省が示した利用料の負担額に上限を設ける高額介護サービス費制度案では,一般利用者で月額3万7,200円,市民税世帯非課税者では2万4,600円,老齢福祉年金受給者では1万5,000円となっており,利用者にとってまだまだ負担は大きい状況です。せめて認定を受けた給付金は利用できるように国に対して制度改善を求めつつ,京都市独自の利用料の減免制度の実施の検討が必要と考えますが市長いかがでしょうか。
 次に,介護サービスの量の問題として基盤整備についてお伺いします。本市の特別養護老人ホーム待機者は現在3,290人です。高齢者保健福祉計画の目標を達成したとしても3,000人余りが不足します。本市が行った特別養護老人ホーム待機者調査アンケート結果の中で待機者の37パーセント,1,200人が早急な入所を希望しておられます。更に私が強調したいのは,介護の相談の経験から,在宅に引き取り介護できない家族の方の場合,特別養護老人ホームが3年から4年待ちの説明に申込みをされず,とにかく早く預かってもらえる老人病院などの施設を必死に探される場合も多いということです。しかし,介護保険になると同じように保険料を払うわけです。特別養護老人ホームにやはり入所したいと言われても当然です。そうなると入所希望者の数は果てしなく広がると思います。平成12年の介護保険実施前に特別養護老人ホームの施設計画は見直しが必要と考えます。我が党は提言で特別養護老人ホームの計画を2倍にすることなど必要な基盤整備について財源を示して要求してきましたが,市長いかがでしょうか。
 次に,介護保険でカバーしきれない人の対策についてお伺い致します。私は,これまで10年以上訪問看護や在宅介護の相談に携わってきました。現在は10年前ではとても在宅で過ごせなかった要介護高齢者が在宅福祉サービスの充実の中で在宅生活が可能となってきました。とりわけホームヘルパー24時間体制が充実してきた最近の成果は目覚しいものがあると思っています。例えば濃厚なケアが必要な方の場合でも,ホームヘルパーの巡回型を1日数回利用することにより在宅生活が可能となってきました。しかし,介護保険制度が始まるとたちまち1割の負担,更に給付限度額を超える利用は全部自己負担となります。利用料が払えないと介護サービスは受けられず在宅生活が困難となります。また週2回程度のヘルパー派遣で掃除と買物をしてもらえれば十分1人で暮らせるという方は多分介護認定は自立と認定されます。そうなると全額自己負担となり,それが払えないと自立度の高い人まで在宅生活が困難となるわけです。このように今回の介護認定は,必要な人に必要なサービスを提供するよう取り組んできた福祉サービスの後退となりかねません。介護認定で自立と判定された方に対する対策や給付限度額を超える全額自己負担分についての具体的な対策を持つ必要があります。京都市独自の単独補助事業も含めて,配食サービスや介護者激励金などの福祉支援事業に取り組む必要があると思いますが,市長の決意をお示しください。
 次に,産業廃棄物処理場のある大岩街道と雲ヶ畑地域の環境問題,北区原谷における野焼きの対策について質問致します。今,全国でダイオキシン類による環境破壊,人体への影響が問題としてマスコミにも採り上げられ国民の関心は強まっています。初めに深草東部大岩街道地域の環境対策について質問致します。私は,5月中旬に大岩街道にある産業廃棄物処理場近辺の住宅に調査に行きました。居住地より100メートルの所に産業廃棄物処理場があり,風向きが住宅街に向いていたため集落全体が煙に覆われているような状況でした。家の中に入っても何とも言えない焦げ臭いにおいがこもっていました。白い洗濯物は薄黒くなり,窓を開けているとテーブルの上に置いてあった赤ちゃんのミルクが黒くなり飲ませられなくなったなど日常生活に大きな支障と不安を来しています。住民独自で行った健康調査では,喉が痛い,頭痛,頭が重いなどの自覚症状を訴えられる方が多く,明らかに健康上の問題が起こっています。野焼きのときよりも1997年に焼却炉が出来てからの方が煤煙,煤塵がひどく,日常生活上の問題になっているという声が多く上がっています。焼却炉のメーカーは,規定のごみの量を規定どおりに燃やしていれば煙突から黒煙や煤塵は出ないはずと言っています。このことは逆に規定以上のごみを焼却していることになり,廃棄物処理法においても燃焼方法は違反していると言えます。営業許可をした行政の責任が問われます。1998年度中に報告となっていた大岩街道周辺違法開発等特別委員会の報告はどうなっているのですか。自治体にとって住民の命と健康を守るのは第一義的な課題であり,そうした意味からもダイオキシン対策は待ったなしの課題です。産業廃棄物処理業者への監視,指導はもとより,焼却中止も含めて抜本的対策を一刻も早く出すべきです。市長のお考えをお聞かせください。
 次に,鴨川上流の雲ヶ畑地域下流にある上賀茂十三石山町の産業廃棄物中間処理場での環境対策について質問致します。鴨川といえば千年の古都京都の顔であり,上賀茂神社の神事にも使われる神聖な水にもなっています。また下流では大阪府民の水源ともなっている命の水です。この鴨川の上流に産業廃棄物中間処理場があり,雲ヶ畑地域の住民からはダイオキシンによる環境破壊や健康への不安の声が上がっています。この業者は無届けで10年以上前から野焼きを行っていました。1990年には北区市長懇談会の席で雲ヶ畑自治会長が施設の撤去を要望したところ,当時の田邊市長は,これ以上の施設拡大はさせないと回答したと言われています。しかし,どんどんと敷地面積を広げ,今では当初の約6倍にもなっています。1993年から1997年,産業廃棄物処分業に至るまで京都市はこの業者の届出を次々と許可してきました。
 そもそも鴨川の上流に川への汚染が心配される産業廃棄物の中間処理場を許可したこと自体が驚くことですが,今の現状でも地元からの要望があり,御存じかと思いますが疑わしい点が幾つかあります。まず第1に,業者が届け出た1日焼却量4.8トンの問題です。地元の方の懸命な調査で車のナンバーを控えると2トントラックが38台もあり,ほかの業者から持ち込まれる分も合わせると届出以上の焼却をしている疑いがあります。しかも早朝から夜遅くまで少なくとも1日20時間は煙が上がっている状況であることは地元のたくさんの方々が目撃されています。更に紙くず,木くず以外に屋内配線のビニール電線や布団なども運ばれており,焼却の疑いがあります。
 第2は,焼却灰の処理の問題です。私は5月上旬に施設近辺の鴨川を実際に歩いてみました。施設から鴨川に流れ込んでいる土の様子には,焼却灰が混入しているのではないかと見られる黒ずんだ土壌がありました。そして施設近辺の川や川岸に,鉄パイプやビニール電線などを一緒に焼却し固まった岩石のような塊を幾つも発見しました。河川を汚していることは明らかであり,中間処理場でありながら最終処分をしている疑いがあります。
 第3に,施設と川の間の擁壁が崩れてきている問題です。この擁壁は施設内の土壌が川に流れ出ないために京都府と業者が造ったと伺っております。業者は擁壁の上に大きなコンクリートの塊を数メートルも積み上げており,そのコンクリートの重さでついに擁壁が崩れて倒れている所がありました。川がせき止められるような惨事にならないためにも徹底した施設運営上の調査,指導,施設近辺の大気,土壌,水質調査が必要です。鴨川の保全上も重大な問題として焼却中止も含めた対策が必要と考えますが,市長いかがでしょうか。
 最後に野焼きの問題です。建設業者や解体業者などの中には安易に野焼きをしている現状があり,住民から不安の声が上がっています。この対策について質問致します。北区原谷地域は,以前より建設業者や解体業者が野焼きを繰り返し行ってきた地域でもあります。現在,分かっているだけでも7箇所の野焼き現場を確認しています。近辺に住まれる住民の方は異臭や煤煙,灰などに苦しめられています。この間,住民の方々は町内で対策委員会を設置したり,警察,消防,保健所などに再三にわたり通報や相談をされています。しかし,今の段階ではいずれにしても業者への厳重注意にとどまった対応しかされていません。更にこの4年間で原谷で4回火事が発生していますが,うち3回が野焼きによる不始末が原因のものでした。夜に燃やし始め焼却場から離れてしまう業者など悪質業者もあります。住宅密集地域であることから広範な火事の発生の危険が極めて強いことや,若い世帯も多く母乳や子供たちの健康への影響の不安の声も強まっています。環境局担当者は業者指導に回られていますが,目立った改善は見られず住民の不安は募っている状況です。野焼き近辺の大気,土壌のダイオキシン類調査を実施することと,住民の不安にこたえ一刻も早く野焼きをやめさせる対策が必要と考えますが,市長いかがでしょうか。
 日本共産党市会議員団は,一貫してダイオキシン類の抜本対策を求めてきました。2月議会では,京都市ダイオキシン類から良好な環境を守る条例案を各会派にお示しし御検討をお願い致しました。そして全会一致でダイオキシン類から市民の健康を守り,環境先進都市京都の実現を目指す決議を致しました。条例制定に引き続き取り組む決意でございます。環境先進都市京都を目指す京都市長の決意と明確な答弁を求め私の質問と致します。ありがとうございました。


理事者の答弁

◎市長(桝本頼兼君)
 玉本なるみ議員の御質問にお答え致します。
 介護保険施設の利用料についてでございますが,御承知のとおり現在国におきまして所得に応じて自己負担の上限額を定めることや,更に食事の標準負担額の減額について検討されております。こうした取扱いを踏まえたうえで本制度が低所得者にとって過重な負担とならないように引き続き国に要望を続けるとともに,他都市の動向等も踏まえまして本市の対応について検討して参りたいと考えております。
 以下,薦田副市長及び局長が御答弁申し上げます。

◎副市長(薦田守弘君)
 介護保険制度の対象外の高齢者の生活支援策についてでございます。制度実施後の施策につきましては,制度の導入に合わせて京都市高齢者保健福祉計画の見直しを行い保健福祉施策全般を再構築していく必要がございます。現在介護保険対象外の生活支援策あるいは介護予防のための施策の在り方について検討を進めているところでございます。今後とも国や府,他都市の動向も考慮し高齢者の生活支援策の在り方について更に検討を進めて参ります。
 次に,大岩街道周辺の環境対策及び産業廃棄物処理業者への指導,監督についてでありますが,この地域の焼却施設は,違法な野焼きの中止と適正処理を指導した結果設置された適法なものであります。また平成9年12月から施行された改正廃棄物処理法による構造維持管理基準についても,いずれの施設もこれらの基準を満たしております。今後とも法に基づき適正な処理が行われるよう指導監視を行って参ります。
 次に,当地域の将来的な土地利用の在り方につきましては,現在土地利用の方向性の素案について最終的な詰めを行っているところであり,今後できるだけ早くまとめて参りたいと考えております。以上であります。

◎環境局長(小森浩君)
 雲ヶ畑街道沿いの中間処理施設についてであります。当該施設は平成10年1月に処理業の許可を行いまして以降,適宜立入調査を行っておりますが,これまでのところ不適正処理を行っている事実は把握しておりません。鴨川につきましては,環境基準点でございます高橋で水質調査を実施しており,すべての項目で水質基準に適合しております。
 次に,北区原谷地域における野焼き問題でありますが,当地域は,用途地域と致しましては準工業地域に指定されております。このため工務店,作業場,工場等が多く進出しており,廃棄物の不適正処理が行われる可能性が高いことから監視活動を行っております。昨年秋以降,住民の方から通報を受け現地調査を行ったところ焼却された形跡がうかがえたことから,今後更に監視活動を強化して参りたいと思います。なお今年4月に当地域において警察と合同で立入りを行い,その結果,不法投棄を行った業者の検挙に至ったこともあり,今後警察とも連携しながら取り組んで参りたいと思います。以上です。

◎保健福祉局長(井尻浩義君)
 介護保険料についてのお尋ねでございますが,第1号被保険者の介護保険料につきましては,介護サービスの給付水準によって市町村ごとに異なって参ります。本市におきましては,市民のサービス利用意向調査やサービスの供給量に関する事業者調査を実施し,現在サービスの見込量の取りまとめを行っているところでございます。最終的には来年度予算市会において御審議いただくことになりますが,介護保険事業計画の中間報告をまとめる時期には概算の数字を明らかにしたいと考えております。
 次に,介護保険料の減免についてであります。第1号被保険者の保険料は所得段階別に設定することとされておりますが,一般的な低所得を理由とする減免は想定されておりません。このため低所得者の方々にとって保険料が過重な負担とならないよう引き続き国に要望を続けるとともに,他都市の動向等も踏まえまして本市の対応について検討して参りたいと考えております。次に第2号被保険者の介護納付金分保険料についてでございますが,現行の国民健康保険料の法定減免の基準に該当する世帯におきましては,国民健康保険料と同様の軽減割合によって軽減の対象となります。介護納付金分保険料に係る条例減免につきましては,他都市の動向を注視して参りたいと考えております。
 次に,介護サービスの基盤整備についてでございますが,介護保険法では可能な限りその居宅において日常生活を営むことができるよう配慮されなければならないとされておりまして,在宅サービスの充実に努める一方,在宅生活が困難な方につきましても安心した生活が送れるよう必要な施設の確保を図って参りたいと考えております。新たな整備目標につきましては,要介護高齢者の実態やサービス利用意向などを踏まえて介護保険事業計画の中で明らかにして参りたい。以上でございます。