2002年11月定例市会 代表質問
No.3
私は日本共産党市会議員団を代表し、市長ならびに関係理事者に質問いたします。
介護保険について
保険料について
はじめに、介護保険について質問いたします。介護保険が二〇〇〇年四月に始まって、三年目の事業計画の見直しの検討がされています。十月に発表された京都市の中間報告によると、次期三年間の介護サービス量が推計され、それにもとづく六五歳以上の一号被保険者の保険料は基準額で一ヶ月二,九五八円から三,九八四円となり、千円以上の大幅値上げと算出されています。老人医療費の自己負担の増大や来年度は年金制度の改悪で、年金額も減ります。高齢者の皆さんの暮らしは本当に大変になっています。本年一月に実施した高齢者の生活と健康に関する調査では、本人の年収で百万円未満の人が約三割、二百万円未満の人で約半数という状況です。これ以上の負担は生活そのものが成り立たなくなり、保険料の値上げは到底受け入れられるものではありません。
大幅な保険料の値上げの理由は、この三年間の十九億円の赤字の返済と次期計画の介護保険会計の膨張があげられています。介護保険の根本的欠陥は、給付サービス量が増えれば、増えるほど保険料や利用料の負担が増える仕組みとなっていることです。国が必要とされる介護費用に責任をもつ国庫負担率に改善することが、まず第一に求めらます。その上で、京都市も国民健康保険と同じく介護保険も保険者として、一般会計からの繰り入れなど独自の努力が必要です。いかがですか。
来年度からは年金支給が下がるといわれる中で、収入が減るのに保険料が増えていくのはどう考えても矛盾です。高齢者世帯の多くが国民基礎年金であり、その額は平均で月五万円以下という実態を見るならば、現在の第二段階の人たちへの保険料減額の適用は八五六人余りにとどまっており、不十分です。市長は九月市会で現行の第二段階保険料の減免について来年度以降、拡充の方向を明らかにしていますが、早急に具体化されることを要望いたします。また、第一段階の老齢福祉年金受給者の保険料免除も千三百万円あれば可能です。介護保険も国民健康保険同様の減免制度が必要です。保険者としての京都市の姿勢が問われるところです。いかがですか。
利用料について
さらに、中間報告では第四・第五段階の境を現行の前年所得二百五十万円から二百万円に変更することが示されています。これによると一万人以上の高齢者の保険料が現在の三,六九八円から五,九七六円へと月額二,三〇〇円も高くなります。所得基準の額を変えるべきではありません。いかがですか。
介護保険を利用しやすいものにするためには、利用料の減免制度も必要です。利用料の負担が原因でヘルパーやデイサービスの回数を減らしている方が多く、ケアーマネジャーの側もやむを得ず、サービス量を減らすケアプラにしているとのことです。利用料負担に制約されることなく、必要なサービスが利用できる介護保険にするために、低所得者への利用料の減免制度はどうしても必要です。いかがですか。
施設設備について
京都市は二〇〇二年一月に特別養護老人ホームの待機者を二〇三三人と発表しましたが、その後の実態は把握されているでしょうか。ある特別養護老人ホームの申込者は一〇〇〇人を超えたとのことでした。医療法の改悪により、長期入院の患者さんが、退院を迫られ、施設入所希望者として増加しているとのことです。在宅介護が困難な方が増え、家族もケアマネジャーも施設探しに四苦八苦している状況です。ショートスティサービスは、日数制限がなくなり、利用しやすくなったのは良いことですが、施設入所ができず、在宅介護が困難な方が、限度額いっぱいでショートスティを利用しておられる場合もあるとのことです。その結果、常にベッドの空きのない状況で、ショートスティを申しこむのに、ケアマネージャーが一日かかりっきりで、空いている施設を探す状況になるとのことです。「結局、入所施設が足りない」とケアマネジャーは嘆いておられました。十月末に指定取り消しになった事業所は、劣悪な環境で利用者を寝泊りさせていたということですが、被害者である家族からは「少しの間でも預かってもらえれば」と事業所を擁護する声があがっているとのことです。本来なら、このような施設は淘汰されて行くはずなのに、他に選べる施設がなく、サービス量の不足が引き起こした結果の事件であると考えます。待機者数を常に把握し、施設の整備を必要数も明らかにし、すすめるべきです。いかがですか。
<松井副市長>費用負担の割合は全国一律の制度。一般会計からの繰り入れや、4段階と5段階の境界の基準を変更しないことは、国の定めたルールに従って制度運営をする必要がある。
保険料減免は、15年度からも継続し、適用基準の拡大を図る。利用料の減免は、国の定める基準に従って実施しており、今後も適切に運用する。
本市は、高齢化率、要介護認定者、、一人あたり介護給付費が政令市の中でも高く、今後の高齢化に伴ってサービスを提供していくためには、被保険者の費用の負担が必要。次期計画中間報告は全国平均よりやや高い保険料見込みだが、市民の理解を得られるよう取り組んでいる。国に対し、過重な負担とならず、長期に安定した運営ができるよう要望する。
特別養護老人ホーム整備は、計画に基づき着実に推進している。今後の必要数は、中間報告で、国の参酌標準を超えた目標数4494床を示した。今後、市民意見、運営協議会、議会の審議を経て計画を策定する。
在宅介護支援センターについて
次に在宅介護支援センターについておうかがいします。そもそも、在宅介護支援センターは福祉の身近な相談窓口として位置づけられたものです。しかし、介護保険が始まってからは、京都市が委託費を削り、運営費用は介護報酬や実態調査費用が主な収入源となりました。その結果、介護支援センターは手いっぱいの介護保険の利用者をかかえていても、運営が厳しく、さらに、新規の利用者の受け入れも困難になってきているところも多くあります。本来の役割からも介護保険の担い手としての役割からも今のやり方では限界が来ているのではないでしょうか。
昨年十二月から、介護支援センターが、介護予防にかかわるプランを作成した場合、一件二千円の加算が予算化されました。今年の三月までの実績で、市内介護支援センター八四ヶ所の内、取り組んだのは十九ヶ所で二五四件の介護予防プランの作成に留まっています。評価すべき事業ですが、加算額が少なすぎて、その必要性はわかっていても、運営が成り立たないため、積極的に取り組めていないのが現状です。予防活動にもっと力を入れていくためにも、介護支援センターの職員のせめて二人分の給与保障がされる委託費の予算化をすべきです。今、この決断をしなければ、高齢化がますます進む中で、要介護者の増加に歯止めはかけられないと思いますが、いかがですか。
<保健福祉局長>保健福祉相談窓口の機能に加え、居宅介護支援事業所としての機能を持つ。委託料と介護報酬で運営。介護予防プラン作成事業等で遜色ない運営費を確保している。役割を果たせるよう国に支援を要望する。
学童保育について
児童館建設の促進
次に学童保育について質問いたします。
京都市の学童保育の入所の実態は、ほとんどがすし詰め状況で、明らかに数が足りない状況です。六月時点で、七十人を超えるところは十七館一所、一〇〇人を越えるところも一館ある状況で、どこも、余裕のある建物でないことはご存知の通りです。待機者数は六月の時点で一九二人あります。これまでからも、学童保育を含む子育て支援としての児童館が不足していることは認められているところです。平成十八年度までに児童館を一二〇ヶ所建設する目標は、必要数として計算されたものです。今年度で児童館は九九ヶ所になりますが、残りの二十一ヶ所の計画を具体的にお答えください。
十月から開始された学童保育の利用料の徴収には、長引く不況下で、保護者にとって、大変な負担となっています。その影響は退所として現れています。十月からの利用料徴収を機に九五九人の子どもが退所されています。なんと、六人に一人やめたことになります。年度途中に退所される子どもはある程度ありますが、それ以上に途中入所もあり、昨年は四月と十月の比較では百十一人増えており、今回の退所は明らかに有料化による影響である言えます。そのしわ寄せは子ども達が受けることになります。来年十月からの値上げどころか、学童保育の利用料徴収はやめてほしいという要望も出ています。深刻に受け止め、対応が必要です。厳しく指摘しておきます。
<桝本市長>プランに掲げた目標の達成は必要であり、14年度も新規施設原則凍結の方針の中、児童館2館の新設を行っている。今後も120館の目標に向けた整備促進と、子育て支援都市の充実に取り組む。
障害児学童保育
次に障害児の学童保育についてですが、九月議会では、障害児学童の4年生以降の受け入れについて、検討していくとの答弁がありました。国の障害児受け入れ促進試行事業も利用し、早期の実現を求めます。そこで、障害児学童を実施していく上での改善すべき問題として、介助者派遣事業について質問いたします。現在の三年生までの受け入れの場合でも、条件にあった介助ボランティアの登録が少なく、通所の回数制限をされているのはご存知でしょうか。十月からは、週一回や二回に制限をされても、毎日通所している場合と同じ利用料が徴収され、矛盾が一番大きくでています。保護者が学童保育の通所実態に合わせて、仕事を変更をしたり、職を失うこともあります。児童館によっても、積極的に介助ボランティア探しをしてくれるところと、保護者まかせにしているところと、対応がまちまちで、矛盾が広がっています。介助者派遣事業での対応はもう限界が見えています。子ども達の発達を保障する観点からも、指導員として、職員の加配で対応すべきと考えますがいかがですか。
<保健福祉局長>障害児の受け入れは、介助者派遣事業、事業費の独自加算、主任構成員による巡回指導を実施。他都市と比較して充実した受け入れを確保。介助者派遣は、ニーズに応じて柔軟に対応でき、有効なもの。介助者の体制整備や児童館職員の充実で、障害のある児童が健やかに成長できるようつとめる。
教育について
国庫負担削減について 30人学級について
次に教育について質問いたします。政府の地方分権改革推進会議の最終報告では、義務教育国庫負担金の見直しが示され、国が半額負担している公立小中学校教員給与のうち、退職金など約五千億円を来年度から段階的に削減し、一般財源化するとの方針です。本来、義務教育は国が責任を持って全国民に保証すべきものです。国庫負担の削減は、自治体が、教員数や学級編成などに独自性を発揮し豊かな教育をすすめようとする全国の流れに対して、国がそれを保障するどころか責任を放棄するようなものです。来年四月から小学1年生の三十五人学級の実施は、長年の保護者や教職員の要望でもある三十人学級に向けて、一歩前進と評価しています。この決断をした地方自治体として、国に対して、国庫負担の削減については、きっぱりと反対の立場で改善を求めるべきです。いかがですか。
さらに、平成十六年度には三十五人学級を二年生まで拡大すると答弁されていますが、市長の選挙公約でもある三十人学級に向けての構想を具体的にお聞かせください。
偏った教員の配置について
次に偏った教員の配置について質問いたします。同和行政は十三年度をもって終結されたことになっていますが、学校において、行われていた教員の同和校加配も中止となったのでしょうか。実際の教員の配置状況を京都府の配置基準と比較してみると、一校当たり一般校で、平均一人上回っているのに対し、旧同和校では二・四人。中学では一般校で二・一人上回っているのに対し、旧同和校では六人上回っていることがわかりました。旧同和校に対して手厚い配置数になっている状況は明らかです。加配の配置基準の根拠を明らかにし、議会や保護者にも納得できる説明をすべきと考えますが、いかがですか。
<桝本市長>地方分権改革推進会議の提言は、国からの税源移譲による財政措置について明示がなく、地方に財政負担のみを転嫁するものになりかねない。政令都市市長連名で、国に緊急アピールを行った。今後も強く要望する。
<教育長>基本的には国の制度であるが、国に先駆け少人数学級を展望した先進的とりくみをすすめている。府と協議し、1,2年生の35人学級に取り組むとともに、国に抜本的改善を要求する。
同和加配はこの数年抜本的に削減した。同和校であることだけの教員加配はしていない。実態に応じ効果的、適正な配置に努める。
こどもの医療費助成制度の拡充を
次に子どもの医療費助成制度について質問いたします。今、全国や京都府内で制度の拡充が自治体独自の対策として進んでいます。京都市は京都府内においても、政令市においても、制度の拡充施策は一番遅れています。その結果、若い母親からは、「京田辺市から引越しをしてきたが、京田辺市は乳幼児医療費助成を拡大したと聞き、ショックを受けた。京田辺市に帰りたい。」とか「三歳のお誕生日をお祝いするどころか心配です」という声が出され、逆に、家の都合で、京都市から府内北部に引越しをした方は、「医療費助成が拡充されていて本当に助かる」と喜ばれていました。本当に残念な話です。京都市議会には、これまでから、何度も医療費助成拡大を求める請願署名が寄せられています。今議会でも一万六千近くの署名が保険医協会の医師や歯科医師からも沢山寄せられています。日本共産党市会議員団は紹介議員となり、一貫して市民の皆さんと共に助成拡大を求めてまいりました。子どもの医療費の援助は子育て支援策の最重要課題であると言えます。これ以上の対策の遅れは大問題です。京都府議会でも乳幼児の医療費助成拡大について、来年の予算編成を一つの目標として鋭意検討しているという主旨の答弁があったということです。京都市も来年度より、就学前までの助成拡大を実施すべきです。いかがですか。
<保健福祉局長>子育て支援は全国共通の課題であり、国に要望している。制度拡充は、多額の費用が必要で、厳しい財政の下ではあるが引き続き府と協議をすすめる。
賀茂川の清流保全・管理について
上賀茂上流域の産業廃棄物中間処理施設について
今、世界水フォーラムの開催地として、水に関連する取り組みが進められています。そこで、市内の代表的な川である賀茂川の清流保全・管理について質問いたします。
一昨日から開催の日本水処理生物学会において、藻類生態学専門の元府立大学教授・小杉廸子氏が発表された「賀茂川上流の水質汚濁の生物学的水質判定」という研究報告に、注目すべきものがありました。このパネルをご覧下さい。珪藻の拡大写真です。四角で囲ったものが正常で、他は奇形です。珪藻は水質や川底の状況によって住み分けをすることからその種類を調べることによって、水質の生物学的判定を行うことができる指標として、使われています。蛍谷、柊野の鴨川公園、北大路橋の三点で約二十年前から調査をされてきた結果、賀茂川上流域で野焼きや産業廃棄物施設ができた約十年前から、珪藻類の種類相に変化がみられ、奇形が確認されるようになったと報告されています。
私は一九九九年の五月議会と二〇〇一年の二月議会の本会議で、賀茂川上流域で行われている産業廃棄物中間処理施設がもたらす環境破壊の問題を取り上げてまいりました。そもそも、十年前よりこの業者は大きな穴を掘り、大規模な野焼きをしていました。したがって、敷地の土壌には高濃度のダイオキシン類が多く含まれていることは間違いありません。森林開発許可対象の一ヘクタールぎりぎりまで、河川を埋め立て、敷地は拡大されています。住民の方が河川近くの土壌を採取され、摂南大学に依頼した調査結果は六四一・二ピコグラムという高濃度のダイオキシン類が検出されました。私はそれを昨年二月の本会議質問でも紹介し、住民の強い要望にも応えて、京都市として土壌調査をすべきであることを質問いたしましたが、その時の市の答弁は、廃棄物処理法に施設内や周辺地域の土壌調査をする規定はないことから、実施しないこと、そして、規定の排ガス、下流水質検査では問題なく、周辺地域に影響はないとのことでした。本当に安全と言い切れるのでしょうか。
雲ヶ畑農協女性部の方は、一九九八年四月から毎日、施設前を通られる時に施設内から出る煙や蒸気等を観察し操業状況を報告書としてまとめられています。それを見れば、住民と業者間で交わした、日曜日は操業しないという約束は守られていないことは明白です。私自信も日曜日の煙や蒸気を何度か目撃しています。その上に野焼きをしていた頃の土はそのままに、施設拡大はどんどんと進み、住民の不安が募るのは当たり前です。市長は長年、加茂川上流域の雲ヶ畑に住み、河川の保全に努めてこられた住民の不安や願いに応えるべきではないでしょうか。施設内及び周辺地域の土壌調査を市としても行うべきと考えます。施設の五年目の更新手続きを前に住民の方々は、更新をしないでほしいと願っておられ、その要望署名は、すでに市に提出されていますが、引き続きどんどん署名が寄せられているとのことです。住民の不安に応え、五年目の更新をしないよう求めます。いかがですか。
<環境局長>処分業の許可以降、立ち入り調査や行政調査を行っている。ダイオキシン類の行政調査では、基準値を大幅に下回っている。下流域の水質、底質のダイオキシン類検査も基準を下回り、施設周辺地域に問題はない。許可の更新は法定用件に照らして厳正に審査、判断する。
清流保全と環境保全条例制定を
高知県の四万十川は、日本を代表する川ですが、県民・国民共有の財産として、後世に引き継いでいくために、基本的なルールとして条例を定められました。四万十川条例は生態系および景観の保全のために重点地域を指定し、乱開発行為などを制限する実効力のあるものとなっています。
京都市においても、環境基本計画や環境管理計画などを実効あるものとし、賀茂川の清流を保全するために、厳しい清流基準をつくり、森林業者と協力して、上流域の森林の保水力向上や流域における自然の浄化機能の向上に取り組むべきではないでしょうか。
世界水フォーラム開催地として、この時期の条例の制定は世界に発信することにもなります。市長の賀茂川上流の清流保全に対する積極的な答弁を期待し、私の質問といたします。
<松井副市長>賀茂川上流の水質基準は最も厳しく、府が策定した公共用水域の水質測定計画に基づき本市が常時監視。上流の水質は良好で問題はない。今後も水質保全に努め、森林総合整備事業の進捗をはかり、清流保全と環境保全に万全を期す。