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本会議質問

2006年2月市会

No.5

介護保険制度の問題について
障害者自立支援法について
少子化対策、若者の雇用について
BSE対策について
賀茂川に環境保全条例制定を

介護保険制度の問題について

 私は日本共産党市会議員団を代表し、市長ならびに関係理事者に質問いたします。
 まず、はじめに、4月から制度が大幅に変わる介護保険制度の問題についてです。
今回の制度改定は、発足からわずか6年足らずで、国民への大幅な負担の増大と利用者からサービスを取り上げるもので、安心できる介護どころか、国民を不安にさせる大改悪です。
第一の問題は大幅な値上げとなる保険料についてです。65歳以上の第一号被保険者本人非課税の方の基準額は、二〇〇〇年当初二九五八円から、今回の値上げ案では、四七六〇円と1・6倍にもなります。しかも、公的年金控除の縮小や老齢者控除の廃止等、高齢者には大増税が同時におそいかかかっています。高齢者の非課税措置の廃止により、保険料段階が2段階以上上がる方は約3万人もおられます。急激な保険料の増大に激変緩和措置をとられますが、2倍の保険料となる例もあり、年間3万円弱の負担増です。結局は、年金収入は減り、保険料が上がるのですからたまったものではありません。しかも、これらの方々は、今年度の国保料の算定方式の変更に伴い、国民健康保険料が大幅に値上げとなったばかりです。
 あるご夫婦年金暮らしの方の負担の増大状況をグラフにしてみました。ご覧の通り、緑色で示した国民健康保険料が17年度大幅に上がっていますが、この方の場合、18年度も公的年金控除縮小、老年者控除廃止で課税世帯となり、国保の2割軽減と経過措置の所得割部分の3割軽減が対象外になり、又値上げとなっています。所得税、市府民税もかかります。その上にグラフの青・赤で示したとおり介護保険料は夫婦共に2段階以上の大幅な値上げとなり、結局2人で、H16年度は年間145,740円の保険料等が、H18年度には294,190円と倍以上になります。まさに雪だるま式負担の増大です。
 そもそも介護保険制度は国の負担割合を50%から半分の25%に削って、国民の負担となる保険料がどんどんと高くなるしくみになっており、国民はもはや負担の限界に来ています。介護保険財政の矛盾の是正は、国の負担率を50%に戻すことが重要です。保険料の値上げを繰り返すようなやり方は、サービスを使うなと脅しているようなものです。まずは国に負担率をあげるよう強く求めるべきです。同時に、一般会計からの繰り入れを増額し、保険料減額措置を継続・充実すること、利用料の独自減免をつくるべきです。いかがですか。
 第2に、介護サービスを使いにくくし、サービス提供者もしめつける問題です。昨年十月から施設利用者に食費・居住費の新たな負担、さらに新設される「介護予防給付」では、デイサービス及びヘルパー派遣について、週一回と回数制限をかけるなど、サービス利用の押さえ込みをしようとしています。ある方は、せっかく週2回のデイサービスを楽しみにして元気になってきて、できれば週3回にしたいと思っていたのに、2回どころか1回に減らされるかもしれないとショックをうけておられます。
 施設・事業所側からも運営そのものが脅かされる危機的な状況になっています。昨年の改悪で100人規模のある施設では約年間一〇〇〇万円の赤字になると聞いていますが、今回の改悪でさらに700万円の収入減になると試算されています。
 施設としても、存亡の危機に様々な対策をされていますが、このままでは、施設の倒産、もしくは人件費のカットがすすみ、労働者は低い賃金でくたくたになり、サービスの低下や事故などを巻き起こしかねない状況となります。退職者も絶えず、悪循環に陥っている実態もあります。利用者にはなるべく、負担をかけない方針でやればやるほど、経営はきびしくなりますし、負担を強いれば、結局利用抑制につながり、困るのは介護を必要とする利用者であり、家族です。本来の目的である介護の社会化からも遠のくような今回の改悪は、財政先にありきの冷たいものです。こんな介護保険制度の改悪を強行した自民党・公明党・民主党の責任は重大です。
 京都市において、利用者に不安を与えず、事業所の経営が成り立つのか、実態をしっかりと把握すべきです。現在の利用者がサービス利用に不都合がおこらないように努めなくてはなりません。その上で、低すぎる報酬額を引き上げること、利用者負担の軽減を国に対して改善を求めるべきです。いかがですか。

<保健福祉局長>保険料改定は介護サービスの利用増加に応じたもの。低所得者に配慮した保険料段階・保険料率を設定し、税制改正に伴う激変緩和を講じる。独自の保険料減額制度は、現行と同様の基準で継続する。低所得者への対応や介護報酬については国に要望する。

 尚、今国会に提案されている医療保険の改悪は耳を疑うような内容です。二〇〇八年の4月から75歳以上を対象に高齢者医療制度を創設し、年間約7万円の保険料を年金から天引きするものです。又、70歳から75歳の医療費負担を1割から2割に引き上げる案も、とんでもない冷たい仕打ちです。高齢者を中心とする負担の増大と、特に公的な医療保険制度、国民皆保険制度を土台から崩すものであり、日本医師会も反対の声をあげておられます。市長としても市民の命を守るために、市民負担の増大に反対の意見を上げるべきです。いかがですか。

<保健福祉局長>医療改革案は、将来にわたって国民皆保険制度を堅持し、患者本位で持続可能な制度を確保するもの。長期に安定した医療保険制度改革の実現を要望してきた。今後も他都市と連携し必要な要望を行う。


障害者自立支援法について


 次に障害者自立支援法について質問します。
 障害が重く、制度の利用の多い人ほど負担が重くなるという応益負担の導入には、提案から負担額の上限枠が下げられるなど訂正もされ、京都市においても独自の負担の軽減策を設けました。この事は障害者の暮らしの実態を無視したひどい法であることを証明するものです。京都でも「障害者自立支援法に異議あり!『応益負担』に反対する大集会実行委員会」の皆さんが開催されたシンポジウムや国会要請行動には、本当に多くの方が参加され、切実な実態が明らかになりました。
ある授産所に通う方の場合、障害基礎年金2級と、作業所の工賃一万円で収入は76,208円です。支出は食費や交通費、日用品などで残るのはほんのわずかで、すでにぎりぎりの生活です。自立支援法の施行に伴って1割負担が生じ、京都市の軽減策があったとしても、7,500円、さらに昼の食費負担が14,300円かかり併せて21,800円の負担が増えることになります。1万円の工賃のために、倍以上の負担がかかる矛盾に、せっかく社会参加し、頑張っている気持ちを奪うものです。もちろん、大幅な赤字で今まで通りの暮らしはできなくなります。
京都市独自に負担の上限額の設定を国の半分にするという軽減措置は、障害者の願いに応えるものです。ただし、軽減措置は申請制を取っており、すべての対象者がもれなく、申請できるようにする必要があります。しかし、今月第2週目頃より送付された申請書は書類の量が多く、わかりにくいことや、初めて負担がかかることを知り、驚く方がある等と混乱されています。申請を待つだけでなく、説明会の開催や訪問なども行い、丁寧な対応が必要です。職員の体制を強化して対応することを求めますがいかがですか。

<松井副市長>減免の申請勧奨の文書を対象者全員に送付した。事業者、障害者団体への説明会も実施。窓口相談やきめ細かな対応ができるよう職員研修、臨時職員の確保も行っている。申請漏れのないよう、受付状況を注視し対応する。

 さらに、軽減措置が3年間の暫定措置ということは問題です。障害者の雇用状況や年金保障などの改善が見込めない中で、暫定措置で終わらせるのではなく、負担軽減の対象者を広げる等、さらに充実させるべきです。これまでから保険料の徴収年齢を下げることを視野に介護保険への統合をすすめる提案等もありましたが、障害者や関係者への混乱をまねき、負担を増大させるものです。介護保険の統合には反対の立場を表明するべきです。いかがですか。

<市長>障害者の生活実態、重度重複障害者への配慮等検討し、「京都方式」ともいえる軽減策を講じる。国で介護保険を含む社会保障の見直し、所得保障のあり方の検討がされるため3年間の暫定措置とした。

<保健福祉局長>介護保険との統合は様々な意見があり、広く国民的議論を経て結論を得るべき。


 地域生活支援事業については、市町村が実施主体となる事業が大きく広がり、地方自治の観点からも、地方の自主性が求められることになります。
 ガイドヘルパー等の移動支援やコミュニケーション支援の手話通訳などはさらに充実が求められます。視覚障害者にとってのガイドヘルパーは移動支援という役割と同時に、コミュニケーションをとるための手段としても重要な支援です。小規模作業所は地域生活支援センターに移行することになっていますが、現在の利用者や関係者が心配しているのは、自己負担の問題です。地方自治体の自主性を発揮し、地域生活支援事業についてはこれまで同様に自己負担を導入せずにやるべきと考えますがいかがですか。

<市長>地域支援事業は、自治体が独自に実施する事業。これまで聴言センターやライトハウスでの実績があり、18年度も養成講座の充実や24時間対応の手話通訳コーディネーターなど設置。相談支援やコミュニケーション支援は無料だが、その他は国のガイドラインに基づいて決定する。

 あわせて、自立支援法の施行に伴って見直しをする「障害者福祉計画」の策定にあたっては、現在の京都市障害者推進プランの総括をしっかりと行い、支援内容を再編することで、これまで受けていたサービスが受けられなくなったり、未達成の事業がなおざりにならないようにすべきです。施設やサービスは、不足していることは明白です。京都市障害者基礎調査を行うにあたっては、京都市における当事者のニーズを把握することと、社会資源の整備がどこまでできているかも明確になる調査となるよう求めます。その上で、国と自治体の責任で緊急に整備をすすめることを強く求めます。
 次に、障害者自立支援法で負担増となる精神通院医療についてです。これまで、精神通院医療では5%負担でしたが、自立支援医療ではすべて原則1割負担になります。負担額が大幅に増え、受診を中断・延期して障害の重度化を招く事態が生じかねません。とりわけ、京都市は精神通院医療については、独自に国民健康保険加入者には付加給付制度をもうけ、5%負担も免除してきました。それを社会保険の方との不公正をなくすことを理由に11月末でやめてしまおうとしていますが、不公正をなくすというのであれば、負担の少ない方に合わせるべきです。精神通院医療の付加給付制度は残すべきです。いかがですか。

<保健福祉局長>結核精神付加給付金は社会保険加入者との公平性を確保するため廃止し、自立支援法の利用者負担軽減で対応。


少子化対策、若者の雇用について


 次に少子化対策について質問します。
若い世代の皆さんの声を聞いて、その深刻さをあらためて実感しました。「これからの社会に希望が持てない」「結婚したくても、給料が安すぎて、やっていく自信がもてない」「結婚はしているし、できたら子どももほしいけど、今の暮らしの状況では考えられない」「最低賃金・時間給680円を上げてほしい」「もう一人子どもはほしいけど、育児や教育費の負担も大きく、とても無理」等、これらは少子化問題の生の声です。こういった実態をしっかりと掴み光を当てる必要があります。合計特殊出生率「1・57ショック」と呼ばれた1989年から16年。政府は出生率低下に歯止めをかけるどころか、拍車をかける政治をすすめているといわざるを得ません。京都市においては1・12となり全国平均を大きく下回る状況です。つまり、小手先の対策ではどうにもならないところに来ているということです。子育てには、本当にお金がかかります。親として、経済的理由で、子どもに行きたい高校や大学に行かしてやれない、やめなくてはならないということほど、辛く悲しいことはありません。しかし、現に日本ではこんな辛いことがたくさん起こっているのです。OECD(経済協力開発機構)の比較調査では、日本の貧困率は15・3%と10年前の約2倍に増加しています。
根底に人間らしい雇用の破壊があります。非正規労働者は3人に1人、若者では2人に1人が非正規労働者として、働いています。アルバイト、パートの掛け持ちで働いても、安い賃金で、苦しいという状況で、身体を壊す若者もいます。労働基準法を連続改悪し、製造業にも派遣労働を拡大したり、非正規雇用に置き換えるリストラを後押しするなど、政府が労働法制の相次ぐ「規制緩和」を推進してきた結果が少子化を悪化させてきたのです。
 安心して、子育てできるよう、政府に若者の正規雇用の確保、最低賃金を抜本的に引き上げるよう強く求めるべきです。
 まずは、京都市としても、出生率全国ワースト2の京都の実態をしっかりと把握することが重要です。少子化白書で、子どもが増えない理由の一つに「30歳代男性の長時間労働」とそれにともない女性に育児の負担がかかることをあげています。男女共同参画計画にも大きく関わる問題です。前段述べました若者の実態調査を行うべきです。

<文化市民局長>雇用行政を所管する国と府で取り組まれている。市はヤングジョブスポットで職業的自立の支援に取り組んでいる。市としてどのようなことできるか研究する。

 さらに京都市が子育て支援策をいかに推進しているかが問われます。京都市の次世代育成計画「新みやこ子どもいきいきプラン」において、具体的なニーズ調査をされています。理想とする子どもの数より少ない理由という調査結果から、「経済的に余裕がない」「教育費にお金がかかる」と子育て費用に関する負担感があることを分析しています。しかしながら、今回の予算案では保育料がH17年度に引き続き上がる方や学童保育の利用料の値上げが提案されており問題です。保育料は国基準を上回る世帯がでてきており、負担は増大しています。子育て支援というなら保育料や学童保育の利用料は引き下げるべきです。いかがですか。

<子育て支援政策監>国基準を大幅に下回る保育料である。保育料は昨年利用者の負担の公平性のため格差是正した。学童保育料は国補助基準の改定に合わせた最小限のもの。土曜日と長期休業中の開始時間も変更。保育・学童保育合わせると国基準の1.4倍の運営費を支出している。ご理解頂きたい。


BSE対策について

 次にBSE対策について質問します。アメリカ産牛肉は輸入再開からわずか1ヶ月で、危険部位である脊柱の除去が行われないままの輸入の実態が明らかになり、再び輸入停止となりました。これは国民の命に関わる深刻な問題です。政府の輸入再開は、危険部位の除去、月齢二十カ月以下という二つの条件をアメリカが順守することを前提に行われたものでしたが、この前提が守られる保障がまったくなかったことを今回の事態は明らかにしました。加えて深刻なことは、アメリカが二つの条件を守っているかどうかを確認するために、農林水産省と厚生労働省がアメリカ国内の食肉処理施設を査察し、「適切」と認定したという報告が、輸入再開前ではなく、再開後であったことです。一連の経過は、政府のBSE対策なるものが国民の安全よりもアメリカの要求を優先させた、まさに「偽装」対策だったことを示しています。京都市は、輸入再開後も、全頭検査を実施すると共に、小売店が肉の「履歴書」を入手してちゃんと消費者に説明しているか、体制も取って調査や指導を行ってきました。それは市民の不安に応えてのことではなかったでしょうか。
 国民の不安が増大する今日、京都市において、市長はあらためて、全頭検査の堅持を表明すると同時に、輸入牛肉対策を根底から見直し、全頭検査、全月齢の危険部位除去といった日本と同様の安全基準が確保されるまで、アメリカ産牛肉の輸入は再開しないことを国に強く求めるべきと考えますが、いかがですか。

<星川副市長>国の方針にかかわらず全頭検査を表明し、実施している。米国産牛肉の輸入条件は食品安全委員会で科学的見地から基準が示されており、輸入再開は政府が適切に判断すべき。今後も第2市場で全頭検査を実施し、食の安全確保に全力を上げる。


賀茂川に環境保全条例制定を


 最後に賀茂川上流の環境保全について質問します。
 私はこれまでから、賀茂川上流における産業廃棄物中間処理施設のダイオキシンや環境破壊の実態を示し、改善策を求めてきました。しかし、積極的な取り組みがされない状況の中で、ここ数年でも、さらに賀茂川上流の環境は悪化しています。美しい山々と川の風景に11の資材置き場等が、どんどんとトタンの壁を広げ、通る度にがっかりします。産業廃棄物中間処理施設・上村組においては、敷地内に大きな穴を掘り、野焼きをしていた頃の土はそのままに、施設はどんどん拡大され、残土を積み上げているのではないかと心配の声が上がっています。
 これは街道から見る施設の状況ですが、上野写真をご覧下さい。以前は石垣は1段でしたが、2段に積み上げられ、さらにその上にたくさんの瓦礫が見えています。街道沿い南側にも石垣が増設され、下の写真のように木はなぎ倒され、最近ではそれを隠すのに汚いトタンが建てられています。1ヘクタールを超える開発は森林法違反になるわけですが、京都府の報告では、0・998ヘクタールだそうです。しかし、それにはからくりがあります。崩落を防ぐための土砂の搬入や植栽をさせたところは面積にカウントしないというのですから、抜け道だらけです。しかも、心配していたダイオキシンの問題では、昨年10月21日の大気調査の結果、基準値10ナノグラムを上回る16ナノグラムの値になっていたことが、今年の1月の検査報告でわかりました。この間ずっと、高い濃度のダイオキシンで、汚染され続けてきたことになります。
 現在、原因究明と改善対策の指導をされているとの事ですが、徹底した調査を求めます。2002年に新基準に合わせて軽微の施設変更として、バグフィルターや送風機などを設置したのにもかかわらず、高濃度のダイオキシンが検出されています。プラスチック等の指定許可以外の焼却をしていなかったのか。野焼きをしていたこと、敷地面積がどんどんと広がっていること、賀茂川に隣接した施設ということからも、徹底した原因究明の調査と結果の公表、改善対策を明らかにすべきです。原因究明は業者任せにせず、専門家の協力も得て、京都市の責任で徹底して土壌を含めた調査をやるべきです。
 私は2002年に、賀茂川の清流を保全するために、環境保全条例の制定を提案してきました。乱開発行為を規制し、厳しい清流基準をつくり、森林業者と協力して、上流域の森林の保水力向上や流域における自然の浄化機能の向上に取り組むべきです。賀茂川の清流を守る立場で、環境保全条例を制定し、京都市独自の産業廃棄物施設の設置規制を実施していくことの決断を強く求め、私の質問といたします。

<環境局長>排ガス中のダイオキシン調査で基準を超過し、直ちに使用停止と改善命令を出した。学識経験者の意見に基づき土壌調査に着手している。基準超過の原因と改善の指導も学識経験者の協力で万全を期す。
鴨川上流の水質保全は、国基準を上回る独自の基準で常時監視を行っている。