トップ > 主な質問 トップ > 本会議討論 トップ > 2001年10月

本会議討論

医療保険制度意見書提案説明

No.3

私は、日本共産党市会議員団を代表し、医療保険制度改革に関する意見書について討論いたします。
 厚生労働省から医療制度改革の試案が発表されました。その内容は、サラリーマン本人が医療機関の窓口で支払う患者負担について、入院、外来とも現行の2割から3割に引き上げられ、加入者の家族の入院の場合も2割から3割に引き上げられるというものです。 さらに、現行では70歳以上となっている高齢者医療の対象を75歳以上と引き上げ、70歳から74歳までの患者負担は2割に引き上げるというものです。その上、財務省は昨日高齢者から乳幼児までの医療費の自己負担割合を原則3割にするという案を発表しました。正に正気の沙汰とは思えない内容です。
 今年の1月からの高齢者の医療費自己負担が原則1割の定率負担となり、高齢者の受診抑制が進んでいます。その上に、これらの医療費負担増は、お金の心配で医療を受けられなくなる受診抑制をさらに深刻化することは免れません。
 患者負担の引き上げによる医療費抑制政策の効果は、一時的なものであることは過去の経験からも明らかであり、逆に病気の重症化をまねき、医療費の抑制にならないことも明白です。そもそも、医療は早期発見、早期治療が原則です。この原則を根本から崩すような医療制度の改革では、医療費抑制はもとより、国民の命と健康を危険にさらすものです。医療機関へのかかりやすさこそ、求められる医療改革ではないでしょうか。日夜、患者と向き合っておられる医師が加盟する全国保険医団体連合会では、「小泉医療改悪阻止闘争本部」を設置され、「なりふり構わない泥臭い運動の展開を」と並々ならない決意のほどを述べられたということです。
 政府は高齢者の医療費が増加し、保険財政を圧迫していることを、負担増の理由としていますが、保険財政逼迫の根源的理由は、この20年間ほどの間に医療費に占める国庫負担の割合を大幅に減らしてきたことにあります。老人医療費でいえば、国庫負担の割合が1983年の老人保健法制定時の44,9%から2001年度予算で31,9%と13%も下がっています。このために老人医療費を支える各保険財政からの拠出金が膨らみ、健康保険財政の赤字の大きな要因となっているわけです。改革案が実施されるならば、国民健康保険をはじめ、各保険財政の悪化は免れず、さらなる保険財政の逼迫は避けられません。
 改革すべき第一は、世界一高い薬価の見直しです。7月に発表された政府の産業構造審議会の「中間とりまとめ」では、日本の医療費に占める薬剤費比率20,1%を欧米諸国なみの16%に引き下げることによって、医療費を一兆四千五百億円削減できると試算しています。この改革を実行しただけでも、国民の負担増は必要なくなります。
よって国におかれては、自治体および、被保険者の負担増ではなく、国庫負担を計画的に元にもどし、薬価の見直しなどの医療保険制度の改革に取り組むことを強く求めるものです。尚、与党の皆さんの医療保険制度改革に関する意見書は、今回の改革の中心点である患者負担増にふれることなく、問題を国民健康保険財政にすり替えるもので、まったく不十分です。小泉首相の進めるすべての国民に痛みだけを押しつける医療改革に正面から意見をあげるべきではないでしょうか。
 同僚議員のみなさんの賛同をお願いし、討論といたします。