2006年2月市会 2006年度国保、介護特別会計予算に反対討論
No.10
日本共産党市会議員団は議第3号京都市国民健康保険事業特別会計予算案と議第4号京都市介護保険特別会計予算案及び、議第35号介護保険等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例制定について、議第52号京都市介護保険条例の一部を改正する条例の制定については反対し、議第39号京都市国民健康保険条例の一部を改正する条例については賛成しておりますので、代表して討論を行います。
国民健康保険−低所得者対策が極めて不十分
まず、国民健康保険についてです。
反対理由の第一は低所得者への配慮が極めて不十分だからです。H17年度は、保険料の算定方式を変更した為に、低所得者層への大幅な値上げとなってしまいました。そこで、所得割がかかる非課税世帯に対して、所得割分の3割減額の2年間の経過措置が取られたわけです。ところが、H18年度は国の税制改定により、課税世帯になり、対象から19,000人がはずれることになることがわかりました。収入は増えていないのに、課税世帯になってしまうわけですから、H17年度と同じく、経過措置の対象とすべきです。しかし、審議では「国による問題であり、市としての対応はしない」と冷たい答弁でした。救済措置を取るのが当然です。
一般会計からの繰り入れ、府の繰り入れ増額を
反対理由の2点目は一般会計からの繰り入れが不十分だからです。H18年度はH17年度と同額の154億円を確保したと言われますが、京都市の努力が現れる保険給付費繰入金の単費分は、昨年度比で76,00万円も減額しています。5年前のH13年度は79億円でしたが、今回提案は68億円です。国の保険基盤安定繰入金が増額される中で、単費分はどんどん減額し後退しているではありませんか。
京都府からの繰り入れが少ない問題は、審議で部長も認められました。府内の自治体では一人当たり700円のところ、京都市は250円であり、府の方に「何とかしてほしい」と申し入れをしているとのことですが、増額を何としても獲得すべきです。府市協調を言うならば、当然のことです。
尚、議第39号の 京都市国民健康保険条例の一部を改正する条例については、出産一時金の増額には賛成いたします。しかし、同じ議案に、精神・結核医療付加金の給付を廃止することが盛り込まれており、問題です。国保会計において、これまで、精神通院医療にかかる5%負担分の付加金給付を行ってきたことは、治療の中断を防ぎ、デイケア通院で、社会参加の道を開くための保障となっていたのです。経済的な負担感は新たなストレスとなり、病状悪化につながります。11月までは、今まで通り付加金給付を継続されるわけですから、その間に十分に検討できます。保険料に転嫁することなく一般会計から独自に繰り入れを行い実施すれば、混乱することもありません。検討すべきです。
市民の暮らしが、大変な時だからこそ、いかに負担の軽減策を考え出すのかが、行政の役割であり、市長の姿勢が問われます。
国保の問題の最後は、保険証の発行についてです。保険証一枚で誰でも診療が受けられるという国民皆保険制度について、崩壊の危機感が今、全国で広がっています。それは、今国会で審議されている医療制度改悪案の問題です。高齢者の負担の増大に加え、診療報酬の改定、混合診療への導入の動きも強まっています。地域の医師からも、「診療報酬が下げられ、ますます、廃業する開業医も増えるだろう。先日は資格証明書をもって、骨折の患者さんが来られたがもちろん治療はしたが、お金はもらえなかった。保険外診療が増えれば、さらに金次第の医療になってしまう」と不安の声をあげておられました。これが、資格証明書の悲劇です。小泉構造改革のすすめる命まで、切り詰める自己負担増大路線に加え、京都市までもが、保険料が高くて、払えず、苦しんでいる人たちに、短期保険証や資格証明書の発行を続けることになれば、多くの悲劇が作られます。京都市はH16年度末で、資格証明書を3,640人、短期保険証を16,831人に発行しています。命の保障となる保険証はすべての方に発行し、その上で、親切な対応をするべきです。
介護保険−大幅な負担増、保険料・利用料減免制度の実施・拡充を
次に介護保険についてです。
今回の改定の問題は、要支援の方々のサービス給付の削減と大幅な保険料の値上げがあります。今回の保険料は第1号被保険者で、H17年度予算に比べ、32億円もの負担増大となっています。地域支援事業の創設や借入金の返済分も一号被保険者保険料でまかなう仕組みになっているのも負担増の原因となっています。
あらためて、介護保険制度のあり方そのものに問題があることを実感します。施行に伴って、国の負担割合50%を25%に減らし、給付額が増えれば、保険料負担がどんどん増える仕組みになっています。今回で、2回目の値上げ提案ですが、当初基準額2,958円が、2003年には3,866円に、そして、今回4,760円の提案です。年金収入の増加は見込めない中での度重なる値上げは、もう限界に来ています。保険料の負担に加え、利用料の負担も大きく、必要な介護が受けられない事態が起こっています。これまでの減免制度の継続はされますが、負担の増大のなかで、拡充の提案がないのは問題です。国の税制改革による影響で、非課税から課税世帯になる場合の経過措置は一定とられますが、大幅な負担増大であることには変わりなく、必要なのはきめ細かな減免制度の拡充です。
国に対して、きっぱりと国の負担率をあげるよう強く求めること、市独自の保険料・利用料の減免制度の実施・充実を行い、市民の暮らしを守る立場に立つことを求め討論とします。