2004年2月市会「65歳まで働ける雇用環境の整備を求める意見書」についての賛成討論
No.11
私は、日本共産党市会議員団を代表し、「65歳まで働ける雇用環境の整備を求める意見書」について、賛成討論を行います。
年金の支給開始年齢が段階的に遅らされるのにあわせて、「企業に65歳までの雇用継続を義務付ける」こととし、高齢者雇用安定法案が提出されています。定年と年金支給年齢を接続させることは労働者の暮らしの安定にとって不可欠あり、希望する高齢者の雇用継続を義務付けることは、当然のことです。
そもそも、日本の企業の多くが定年は60歳なのに、政府が支給開始年齢を一方的に65歳に遅らせたこと自体、高齢者の暮らしを無視する暴挙でした。政府・与党がしめしている計画は、保険料だけでも毎年一兆円近くの負担増を二〇一七年度まで、毎年つづけるものです。厚生年金の保険料は、平均的サラリーマンで、毎年一万円も引き上げられます。その一方で、給付水準はモデル世帯で収入の60%から50%へと引き下げられ、この給付減は年間約四十四万円にもなります。しかも、50%の給付を保障すると言われていますが、共働きや単身者では、現役時代の収入の三割台に引き下げられることになります。そのうえ、給付水準の引き下げも国会にはからないまま自動的におこなうしかけになっています。厚生労働大臣は100年安心の年金制度などと言っているようですが、何を指して言っているのでしょうか。
二〇〇一年だけでリストラなどの影響で厚生年金加入者が政府の予想より二百八十二万人も減り、保険料収入が三兆円も見込みを下回っています。横暴なリストラをおさえ、雇用を確保する政策に転換することは、年金財政立て直しに向けても重要な課題です。
高齢者雇用安定法案の内容には、労使協定を結べば、企業が必要とする労働者だけを雇用継続の対象とする基準を定めることができるとしています。そればかりか労使の協議が不調に終わっても、大企業は法施行から3年間、中小企業は5年間、経営側の一方的な判断で基準をつくることも特例で認めています。これではいくら65歳以上まで働くことを希望しても、企業が不必要とする労働者は一方的に選別して雇用しないことが可能となります。企業任せでなく、意見書で求めている通り、希望者全員を対象とする継続雇用の導入を企業に義務つけることと、政府として、財政上の支援策を講じることは重要です。
今、大企業で定年まで働ける人はごく限られている上に、雇用継続を望む労働者に対し、50歳代から賃金や労働条件を大幅に切り下げて、低コストの熟練労働者として活用する政策を進めているのが現状としてあります。さらに、あまりにも長時間・過密の労働現場で、高齢者がこれまで通り働き続けるのは困難な場合も少なくありません。このような状況の中で、働きやすい労働環境と労働条件を整備することなしに、年金支給年齢の引き上げは、あまりにも冷たい仕打ちです。雇用環境の悪化と年金制度改悪の悪循環に歯止めをかけることこそ、必要な対策であることを述べ、賛成討論とします。