2008年11月市会 「安心の介護サービスの確保を求める意見書」に対する賛成討論
No.15
日本共産党市会議員団を代表して、安心の介護サービス確保を求める意見書に対して賛成討論を行います。
介護保険制度発足から9年目を迎えて、利用者・家族は、サービスの切捨てに加え、高額な利用料が負担できず、サービスを取りやめたり、減らす人が続出しているのが現状です。
現在、第4期目の介護保険事業計画の見直し作業が進められていますが、二度に渡る介護報酬の引き下げは、介護労働者に多大なしわ寄せをもたらし、平均賃金は、全産業の一般労働者の6〜7割の水準であり、介護労働者の離職率は全産業平均が16.2%に対し、20.3%、離職者の平均勤続年数は一年未満が42.5%という異常な事態になっています。
このような状況の中で、介護従事者の待遇改善のために、政府は介護報酬の3%引き上げを決定していますが、すでに、2003年、2006年の改定で合計4.7%引き下げられており、焼け石に水であり、介護従事者の賃金上昇には繋がらないと関係者から多くの声があがっています。大幅な引き上げが求められます。
今回、介護報酬の引き上げに伴う保険料の上昇分を埋める経費として、1200億円の予算化の方針が言われていますが、短期間の経過措置に過ぎません。そもそも、介護報酬引き上げが、介護保険料や利用料の値上げに直結することが、介護保険制度の致命的な欠陥です。介護保険制度は介護を社会が支えるとうたわれ開始されました。しかし、増え続ける保険料のしくみを改善しない限り、未来永劫保険料の負担に国民は苦しむことになります。解決には国の負担率を大幅に引き上げることが必要です。利用料についても、高い利用料によって、自らが利用制限をせざるを得ない実態は早急に改善する必要があります。
さらに、高齢化社会が進む中、予防介護の必要性が叫ばれていますが、軽度の介護認定者は介護ベッドの利用制限をはじめ、デイサービスやヘルパー回数を減らさざるを得ない低い給付費により、介護予防とは逆行する事態が起こっています。必要なサービスを保障する必要があります。
最後に、療養病床については、厚生労働省は、2012年度までに介護療養型医療施設は廃止し、主な転換先として、介護療養型老人保健施設制度を創設しました。しかし、このいわゆる「受け皿施設」では、医師をはじめ看護・介護・リハビリテーション各種の人員を大幅に削減せざるを得ず、とても患者さんに責任をもった診療を行うことはできません。さらに採算性の目途も立たたない状況の中、各医療機関の「転換意向」も「未定」が圧倒的に多い実情にあります。結果として、全国に行き場所を失う医療・介護難民が膨大に発生することになります。絶対的な施設不足を解消するためにも、療養病床の確保をはじめ、特別養護老人ホーム等の施設整備は早急に実施すべきです。
以上述べてきた通り、介護現場で起こっている現状を踏まえ、安心して利用できる制度に改善されることを強く求め、賛成討論とします。