2023年05月29日
マイナンバー保険証の義務化と保険証の廃止の撤回を,意見書について討論,玉本議員 | 京都市会議員団 (cpgkyoto.jp)
日本共産党京都市会議員団はマイナンバー保険証の義務化と保険証の廃止の撤回を求める意見書に対して賛成の立場を表明しておりますので、私は議員団を代表し、その理由を述べ討論いたします。
現在、国会では「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下、マイナンバー改正法案)は衆議院で可決され、参議院で審議が行われています。マイナンバーカードを巡っては、コンビニでの住民票誤交付やマイナンバー保険証の情報登録の誤りに続き、公金受取引口座との紐付けでも誤登録が判明するなど、個人情報流出につながるトラブルが続出しています。とりわけ、協会けんぽを中心に2022年11月までの1年間で約7300件も誤登録されていたことは、国民の命に直結する重大な問題です。マイナンバーカードのトラブルの事実関係解明を最優先すべきであり、保険証の一体化はやるべきではありません。加藤厚生労働大臣は、5月23日の記者会見で全国の健康保険組合などに登録データーを点検し、7月末までに結果を報告するように求めたとのことですが、そうであるならならば、6月21日の会期末までに採決するのではなく、マイナンバー改正法案は廃案とし、命を守る健康保険証を廃止する方針は撤回すべきです。
そもそも、マインバーカードの取得は任意であり申請制です。すべての国民が取得しなければならないものになっていません。一方、健康保険証は、国民皆保険制度のもと、保険者により、すべての被保険者に無差別・無条件に交付されるものです。制度の仕組みが異なるものを強引に一体化しようとするのは、マイナンバーカードを普及するために健康保険証を利用していると言わざるを得ません。
しかも、マイナンバー保険証は、重大な欠陥がいくつもあります。たとえば、定年などで社会保険から国民健康保険に切り替えの手続きをしますが、現在は当日に保険証の発行ができていますが、しかし、マイナンバーカードへの登録には数日のタイムラグが起こり、無保険状態となることの問題が起こっています。また高齢や障害などにより、マイナンバー保険証の取得の申請が困難な方も多くおられます。現在の健康保険証は原則すべての国民に交付されることになっているため問題はありませんが、この保険証が廃止されれば、無保険状態になります。厚生労働省は「資格確認証」を発行して対応できるとしていますが、この資格確認証でさえも、申請をして、交付されるものとなっています。制度の欠陥を埋めるために対策が次々と出されても、矛盾は解消しません。国民皆保険制度の根幹を揺るがすことは認められません。今の保険証を変える必要はまったくありません。
また、多様な性を認め合う運動が広がり、国の通知で2017年11月から、国民健康保険証の氏名の記載について、通称名が使用できることになり、京都市でも運用され、大変喜ばれています。しかし、それがマイナンバー保険証になると、住民票記載の氏名になりますので、元に戻ってしまうということです。ジェンダー平等を推進していこうとしている中で、こんな後退は絶対に許せません。
全国の開業医の6割が参加されている全国保険医団体連合会から、5月23日に廃案を強く求める声明も発表されています。国民の命と向きあう医師の皆さんの声を重く受け止めるべきです。
さらに、共同通信社が5月27、28日に実施した全国電話世論調査では、トラブルが相次ぐマイナンバーの活用拡大に不安を感じているとの回答は「大いに」「ある程度」を合わせると70%に上ることが明らかになっています。国民の不安が渦巻く中、マイナンバーカードに命を守る保険証を一体化するべきではありません。
以上、同僚議員の皆さんのご賛同を求め、マイナンバー保険証の義務化と保険証の廃止の撤回を求める意見書の賛成討論とします。