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本会議質問

2010年11月25日(木)

10年11月定例市会 本会議代表質問

No.10

高すぎる国保料の引き下げを
 まず、国民健康保険の高すぎる保険料について、質問します。

 市長は「負担は限界に達しつつある」との認識を示されました。しかし、市民の多くの方が高い保険料に、悲鳴を上げておられ、すでに限界は超えています。それなのに、市長は昨年、今年と2年連続で国保料の値上げを実施しました。値上げの理由は、これ以上の赤字を増やさないために単年度で確実に収支均衡を図ることが必要ということでした。結果は、平成20年度は13億3200万円、平成21度は11億4300万円の黒字でした。それならば、単年度の収支均衡は図れているわけですから、黒字分を還元し、保険料の引き下げを行うべきです。9月議会では、累積赤字を理由に保険料引き下げは考えられないとの答弁でしたが、市民の暮らしの実態を考えれば、暮らしが厳しい今だからこそ、保険料を少しでも下げていくことを最優先すべきです。2年間の黒字額24億7000万円あれば、1世帯1万円の引き下げができます。何らかの滞納を抱える世帯は5万世帯を超えています。払える保険料に引き下げるべきです。いかがですか。

(保健福祉局長)負担は限界に達しつつあると認識し、独自に76億円を繰り入れ、引き上げを抑制している。80億円の累積赤字があり、引き下げはできない。国に財政措置の拡充を要望する。

資格証明書の発行はやめよ
 次に、資格証明書の発行についてです。国は資格証明書の発行に対して、払えるのに、払わないと証明できた場合以外は慎重な取り扱いをするよう方向性を示しました。すでに、広島市やさいたま市は資格証明書を原則として発行していません。しかし、京都市は、昨年4,000件から、今年は4,400件と増えています。京都市民は4,400人も悪質な人がいると考えているのでしょうか。私は決してそうではないと思います。

 資格証明書は、納付の意思を示さず、特別な理由もなく、長期に滞納している方に交付していると答弁を繰り返して来られました。問題は、納付の意思を示さないという状況をいかに確認しているかということです。ある40代の男性は一人暮らしで、強度な鬱となり、引きこもり状態となっておられました。貯金も使い果たし、仕事もできない状況の中で滞納が積み重なり、資格証明書となっていました。心配した大家さんから保健所に連絡が入り、保健師さんが訪問し、保険年金課に保険証の発行を申請に行かれましたが、滞納額の半分を納めないと保険証は出せないという対応でした。ここには二つの問題があります。病気で治療が必要な状況であるのに、保険証をすぐに発行しなかったこと。さらに鬱という病状から納付の意思が示せなかったことに対して、機械的に資格証明書を発行してしまっていることです。確かに、納付相談にくるよう通知はされていましたが、病気のために連絡も取れず、区役所に足を運べなかったのに、資格証明書を発行したことを丁寧な対応といえるでしょうか。

 結局この方は、以前に通院していた病院と保健師さん達の強いアプローチがあり、短期証が発行されましたが、大家さんからの発信がなければ、命もどうなっていたかわからない状況だったとお聞きしました。

 したがって、納付の意思を確認するシステムとして、通知を出しても来られない場合、電話に出られない場合に対して、訪問し、払えない状況がどうして起こっているのか現場で詳細を聞くべきだと思います。いかがですか。

 そして、経済的に苦しく、払えないという状況は「特別な理由」として対応し、保険証の発行をすべきです。納付相談に行っても、滞納額の半分を払うように指導していることも問題です。国保料の1ヵ月分が払えずに滞納を重ねてしまった方に滞納総額の半分を一括で払わないと、短期証も出さないという対応はすぐにやめるべきです。少しでも払いたいと持っていったお金を少ないと受けとってもらえなかったという方の相談を受けたことがあります。払う意思を示している市民に対して、保険証を発行するよう徹底すべきです。いかがですか。

 次に、資格証明書の発行が、滞納対策ではなく、市民の命を脅かしていることを示したいと思います。グラフをご覧ください。

 資格証明書の発行はオレンジの棒グラフですが、99年3月の1,600件から、2001年には3,000件を越し、今日4,000件を越す状況にあります。しかし、一方で保険料の徴収率は折れ線グラフですが、90〜92%で一定しており、滞納への制裁措置となっている資格証明書の発行は徴収率向上の効果がないことがわかります。手遅れによる死亡事例が出ていることからも、市民の命を追い詰めていることは明らかです。減免・減額制度を充実させ、保険料を払える条件を拡大するべきだと考えますが、いかがですか。

(保健福祉局長)滞納者には面接通知や催告書を送付して来所してもらい、納付相談をしている。再三の催告にも応じず、特別な事情もなく滞納すれば資格証明書発行はやむを得ない。

国保料減免制度の充実、限度額認定証の発行を
 次に、限度額認定証の発行についてです。入院費用や手術をした場合、限度額認定証を発行してもらっておくと、窓口で、自己負担限度額までを払えばいいというシステムですから、大変喜ばれているものです。しかし、問題は短期保険証の方に発行していないということです。納付相談をした上で、払っているにもかかわらず、ペナルティを科すやり方は問題です。これまでの答弁では、きめ細かい対応の上交付の判断を行っており、機械的一律な対応はしていない。ということですが、結局、滞納額2分の1の納付と残りの納付誓約が条件になっており、滞納額が2分の1以上の方には適応していないということでした。

 いくつかの病院の方から、結局払えずに、病院の未集金になってしまうケースもあり、納付相談をして、保険料を払う意志を示している場合、限度額認定証の発行ができるように改善できないのかとご要望を伺いました。

 国は、入院の場合の一部負担金減免制度の扱いを短期保険証世帯においても、収入が生活保護基準以下の世帯に適応するという改正を行いました。

 国も命の問題として、救済策を少しずつですが、拡大してきています。限度額認定証も、短期保険証の方にも発行すべきです。いかがですか。

(保健福祉局長)国保料減免は、国とは別に独自の制度を設け、負担軽減をはかっている。限度額認定証は特別な事情がなければ交付できないと定められている。個々の世帯の状況をきめ細かに聞いて適切に判断している。

国保の広域化は被保険者の状況改善にならない
 国保についての最後は、広域化の問題です。現在、国保の都道府県単位の広域化の検討が進められています。結局、広域化することで、国保の最大の問題である高い保険料がどうなるのか、滞納者が増え続けていること、負担金が高くて払えず、助かる命が助からないという状況が改善されるのかということが課題です。

 広域化により、一般会計の繰り入れをやめれば、保険料は大幅に上がることになりませんか。また、京都市は保険者として、独自の条例減免制度も作り、また、身近な窓口としての役割も担っていますが、これも、なくなれば、保険料を払えない人を増やすだけになるのではないでしょうか。どのように認識されているでしょうかお答え下さい。

(保健福祉局長)構造的に財政基盤が脆弱な国保の運営は、限界に達している。すべての医療保険の一本化を求めており、広域化は第一歩。国・府に必要な意見を述べる。

子どもの医療費助成の拡充を急げ
 次に、子どもの医療費助成について質問します。京都府内で、京都市を除くすべての自治体が、府の制度に独自に上乗せし助成制度を拡充しています。南丹市は高校卒業まで、京丹後市は中学校卒業まで、助成を拡充しています。政令市においても、さいたま市は入院、通院とも中学校卒業まで拡充し、名古屋市は通院は、小学校卒業まで、入院は中学校卒業まで拡充しています。京都市において、小学校卒業まで通院も1人200円の負担にするには約22億円の独自の予算が必要ですが、京都府が実施すれば、半分の11億円で実施できます。

 京都市が昨年6月に実施した「子育て支援に関する市民ニーズ調査」では、行政に期待することのトップは「子どもの医療費の軽減や小児医療体制の充実など医療サービスの充実」で、46.9%でした。「医療費がかかる3歳のお誕生日が近づくと、不安になる」「3,000円以上は償還されるけど、兄弟がいると、風邪等はうつる為、医療費は倍かかってしまう」などの声をたくさんお聞きします。子育て支援都市というならば、こういった声に応えるべきです。

 9月議会において、もう少し時間が必要だが、前向きに検討していきたいと答弁がありました。切実な要望であったヒブワクチン等の助成は予算提案をされていますが、子育て世代にとって医療費助成は猶予できない問題であり、一刻も早くの実施が求められています。具体的に京都府との協議は進んでいるのでしょうか。いつの実施をめざし、制度設計を考えているのかお答えください。

(星川副市長)通院を小学校卒業まで拡充すれば20億円余りの経費が必要。福祉関係の財政需要が増大しており、早期拡充、時期の明示は現時点で困難。府と制度のあり方について協議検討を鋭意進める決意。国にも財源措置を強く要望する。

民間保育園のポイント制はやめ、元に戻すべき
 次に、保育について質問します。

 今、保育現場では、昨年4月からの保育指針の変更によって、小学校に送る保育要覧、乳児個々人の目標計画の月案等の記録物が増え、子ども達と接する時間も削られていると悲鳴の声があがっています。必要な人の配置を増やすことなくすすめられているため、保育士さんたちの仕事量は増大しているわけです。

 加えて、新プール制によって、昇給予算の保障がないことや、加算ポイントがどれだけ評価されるのかわからない状況の中で、これまでよりも人件費が削減されています。例えば、昨年までは気になる子どもがいると独自に非常勤を配置し、一人ひとりの発達を保障する努力が行われていましたが、今年からは、人件費を独自につけられないとのことです。ダブルパンチを受けている状況なのです。こういった保育の現場をご存知でしょうか。ポイント制はやめ、元のプール制にもどすべきです。いかがですか。

(子育て支援政策監)今月、各園の申請に基づき、ポイントを認定・通知した。8割以上の園で増額、激変緩和措置も設け、混乱があるとは聞いていない。新プール制の円滑な実市に努める。

「子ども・子育て新システム」導入に反対を
 現在、政府は幼稚園・保育園を一体化することを含めた新たな子育て支援の策定を「子ども・子育て新システム検討会議」を設置し、急速に進めています。すでに、制度案の要綱が発表されていますが、新システムでは日本において、歴史的に築き上げてきた保育所、幼稚園を大きく変貌させ、まったく新しい市場型の制度を作るものになっています。第一の問題は、保育所や幼稚園の関係者をはじめ、国民的に議論をしようとせず、来年3月の通常国会において法案を提出しようとしていることです。政府の説明は、わかりやすく、子ども分野を一つにまとめてしまうというものです。しかし、新システム案の要綱を読みましたが、むしろ、複雑化しわかりにくいものになっています。

 制度のしくみを介護保険のようにして、行政は保育に必要な日数・時間を認定するだけという役割となり、保護者がこども園となった保育園と直接契約し利用することになります。現在の制度では福祉事務所が、保育に欠ける状況を判断し、入所の調整に、大変苦労をしながら、重要な公的な役割を担っていただいています。保護者任せになれば、なかなか決まらずに困る方や、障害児などは、入所しにくくなるのではないかと心配の声があがっています。「子どもを真ん中に置いた制度でない」「子どもは荷物じゃない」と怒りの声もあがっています。親の就労状況によって、保育時間が決められ、バラバラの保育時間になると、設定保育など、集団での活動経験ができなくなります。

 しかも、現在、保育園は子育て支援として、きめ細かな援助が必要な育児不安や虐待児を受け入れ、懸命に対応しておられます。

 これまで、保育園が果たしてきた子どもの成長と発達を保障し、子育て支援としての公的な役割が果たせなくなることは明らかではありませんか。これは、京都市会において、平成20年12月に全会派一致であげた「保育制度改革に関する意見書」に逆行することになり、市会が心配していた通りの改悪が進められようとしています。市長は、市会の意向を重視し、国に強引なやり方はやめるようすぐに要請すべきだと思いますが、いかがですか。

(市長)所管や制度、財源が様々に分かれた子ども・子育て支援対策を一元的に再構築するもので、幼稚園と保育所の一体化が中心。時代の要請に応えて進化することが必要で、幅広い議論がなされるべき。すべての子どもに良質な成育環境を保障するシステムになるよう、他都市と連携し財政措置や保育が必要な子どもが排除されない仕組みづくりについて意見を述べる。

交通不便地域の解消へ、総合的取り組みを  
 次に、市民の足を守る交通権の保障について質問します。

 木曽町の職員の方が作成されたものですが、地域公共交通はすべての施策の土台となるもので、土台となる公共交通がちぐはぐであると、他の分野をいくら整備しても不十分なものになってしまうことが、わかりやすく描かれています。

 バスの便が少なかったり、そもそも、バス路線がないという状況の地域では、「買い物難民」「医療難民」いう言葉に象徴される生活交通の危機的な状況にあり、住民の交通権をいかに保障していくのかさし迫った課題となっています。図の右にあるように、公共交通が整っていれば、元々のそれぞれの施策の効果も高まります。

 交通事業者まかせではなく、自治体が前面に出て、地域の公共交通機関の維持発展を進めていく必要があります。

 そこで、京都府北部の京丹後市の取り組みが大いに参考になると思いますので、ご紹介します。利用者の視点に立ち「改善充実型」の計画を策定し、とりわけバス運賃面を中心に改善を図られました。区間最大1150円の運賃を市内一律上限200円の低運賃とし、バス業者との協議を重ね、市が財政負担をする中で、結果乗客増加を獲得し、市の財政負担も減少しているとのことです。

 京都市が進める「歩くまち・京都」総合交通戦略の先行実施プロジェクトの一つとして「公共交通不便地域の対応策に関する検討」を掲げ、北区雲ヶ畑地域を先行ケーススタディの地域として位置づけたこと、そして、地域住民の代表や学識経験者、バス事業者、関係行政機関で構成する検討委員会が設置され、対応策の検討が開始されたことは、大いに評価しています。10月には全世帯にアンケート調査も実施されました。アンケートの最後の設問にあるように、15歳以上の方が、更に1ヵ月2往復程度多くバスを利用すると山幸橋〜雲ヶ畑岩屋橋間の年間赤字はほぼ解消されるとありました。要は乗る回数を増やすために何をすればいいのかということです。一日4本しかないバス便の状況で、マイカー通勤している人が急にバスに変えることはできません。出町柳駅まで、片道550円、往復で1,100円を2回以上乗るとなると2,200円以上の負担の増大となります。バスの便数を増やすこと、運賃を下げることが必要と考えます。

 京都市としても民間バス会社への運行の支援を行い、バス運行の改善をしながら、乗客の増加を図り、市民の生活を守るべきです。いかがですか。

(交通政策監)公共交通は独立採算を原則に、持続可能な運行が求められる。マイカー利用中心の住民が意識を高め、利用促進に前向きに取り組むことが最大の課題。住民、行政、事業者のパートナーシップで地域が主体となり、生活交通の維持の意識を高める。

 北区原谷の地域では、すでに、地域住民と学識経験者、協力機関、京都市も入り、原谷地域まちづくり計画が平成20年3月に策定されています。住民アンケートで、原谷地域に住み続ける場合に最も不安に思うことの自由記述で、一番多かったのが、「交通利便性」で282件でした。したがって計画には「まちの将来像として、移動手段としてマイカーでなくバスを重視するまちが望まれており、バスの利用促進とあわせて、便数が少なく、運行ルートも不十分であることへの対応策を考えていく必要がある」とされています。平成19年に1,750世帯、約4,900人の市民が暮らす街で、一日31便、1時間1便の時間帯も多く、利用しにくいという声があがるのも当然です。営業係数もここ数年改善傾向にあることからも、バスの増便により、乗客増加は大いに期待されると考えます。市バスの運行地域であることからも、積極的に交通局としても増便の検討をすべきです。当時の区長により「住民と行政が協力して一歩一歩まちづくりを進めて参りたい」と締めくくられた計画を真摯に実現するべきです。いかがですか。

(交通局長)原谷では順次、運行の充実をはかってきた。営業係数は改善傾向だが、利用客歯横ばいで厳しい。区役所とも協議し、利用実態を見ながら可能性を研究する。

 北区西賀茂地域においても、交通不便地域として、バス運行などの要望の声が広がっています。昨年2月の本会議でもご紹介しましたが、その後も、地域の有志の皆さんの呼びかけで「柊野・西賀茂北部の交通問題を考える会」が発足され、バスの運行に向けて住民アンケートも実施されています。対象地域においての回収率72%、696通の回答にみられるように、関心が高く、その内95%の方がバス運行されれば、利用したいと回答していることは注目すべき点です。  

 市民の足を守るのは地方自治体の役割です。雲ヶ畑地域を先行ケーススタディとして実施している検討委員会を、交通不便地域のある行政区毎に立ち上げ、アンケート等の実態調査を開始していく必要があると考えますがいかがですか。

(交通政策監)区役所・支所が窓口となり、交通まちづくりに取り組む気運が高まった地域に、関係行政機関や交通事業者と連携して実情に応じた支援を行う。

御薗橋の架け替えについて
 最後に御薗橋の架け替えについて質問します。

 予備設計において、拡幅工事ではなく、架け替えるという計画になりました。しかも、東詰めから上賀茂神社前の道路は2車線から4車線に拡幅するということで、周辺一帯を含め、大規模な整備計画になっています。そのため、用地買収等の調整に時間がかかるということで、本年度の詳細設計は見送りとなりました。工事の着工・完成が遅れることは残念ですが、地元の皆さんのご意見は、長年の要望に対してやっと計画案が出され、しっかりやってほしいというものです。

 計画は一般の新聞で報道もされていますが、共産党が北区で実施している住民アンケートには、御薗橋の改善を求め、どんな工事になるのかとご要望がたくさん届いています。ロータリーはどうなるのか。柊野別れへの道が混雑しないだろうか。と不安の声もあります。市民の疑問や要望に応えて、市民参加で御薗橋が地元や多くの市民に愛される橋となるよう、進めていただきたいと思います。今後、計画が具体化される段階毎に、周辺地域の住民への説明をしっかりと行うことを求めます。いかがですか。

(建設局長)予備設計をおこない、2倍の幅の橋に架け替え、東側も拡幅する。西側の京都貴船線は25年度完成をめざす。地権者はじめ周辺住民のみなさまと協議し、理解いただき、早期完成めざし整備する。

第二質問
 市民の苦しい実態に背を向ける答弁でした。もっと保育・医療現場の市民の暮らしの実態を見て頂きたいと思います。

 国保の広域化の問題は、保険者である京都市として、市民にとって負担が増大するようなものです。断固反対の立場をはっきりと示していく必要があります。

 子ども・子育て新システム案についても、これまで築き上げてきた保育を根底から崩すものであり、もっと危機感を持って対応すべきであることを指摘し、質問を終わります。